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紅葉 モーツアルト 蟷螂 メンデルスゾーン

  • 執筆者の写真: cartonbox
    cartonbox
  • 2020年11月29日
  • 読了時間: 2分

こんにちは、日曜のひと時をいかがお過ごしでしょうか?

もう12月になるというのに昨日はまだかなり暖かかったですね。

そんな訳で日向ぼっこでもしてみようかと新宿御苑に行き、iphoneから流れるモーツアルトのピアノソナタに耳を傾けながら紅葉の下で寝っ転がっていました。

仰向けになって紅葉を見ながらウトウトとしていると、何やら右肩に違和感が。

まだ眠かったので左に受け流そうとしましたが、なおもごそごそ。

仕方なくうっすらと目を開け右の方を見ると、何やらギザギザしたものが目の中に写り込んできたのです。

これはただ事ではないと思いゆっくりと顔を傾けると彼女は私の体の中でも指折りに柔らかい部分、ほっぺたに向けてその鎌を振り上げていました。


そう、彼女は何を隠そう蟷螂だったのです。

私は彼女を刺激しないように、スーパースローモーション映像のようにゆっくりと彼女から離れようとしましたが、彼女は私の肩にかけてあったマントの生地ににその足をしっかりと絡めて私から離れようとしないのです。

人間の女性には好かれることのほとんどない私が蟷螂のメス(私は彼女のその大きくつぶらな瞳からすぐにその蟷螂がメスであるという事に気づいたのであります)に人気なのはどういうことだろうと思いながら、彼女の鎌をなおも警戒しておりました。

結局彼女は私の顔を一瞥して私から遠ざかっていきましたが、その間曲はモーツアルトからヨーヨーマの演奏するメンデ

ルスゾーンに変わっていたので、それなりの時間が流れていたのだと思います。

その後彼女は、紅葉の下でおじさんカメラマンに撮影をしてもらっている女の子のスカートを登っていきました。

私は彼女の短い蟷螂としての生の中で一度でもその姿を写真に収めてもらいたいという乙女心に涙ぐみながら、西荻窪の越後屋で買ったみたらし団子をついばむのでありました。













 
 
 

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